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ニュース【特集記事01】TISが進めるオープンイノベーション戦略

BIZSPO Labo 事務局
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【特集記事01】TISが進めるオープンイノベーション戦略

TISが進めるオープンイノベーション戦略

~スポーツアクセラレータープログラムの挑戦とその先~

 

社会のインフラから日常の利便性を高めるアプリケーションまでITシステムを提供しているTISでは、他方で早くからオープンイノベーションへの取り組みが進められてきました。実際にスポーツヘルスケア領域でどのような取り組みがあったか。今後どのような展開を考えているのか。担当のお二方に詳しく伺いました。

 

インタビューゲストプロフィール

中村 雅春[ナカムラマサハル]様

大学卒業後、銀行系IT会社にて営業、開発に従事。2004年FeliCaを利用した少額決済事業を立ち上げ某大手カード会社等に導入し同事業の部門長に就任。2015年よりTISインキュベーションセンターに着任。現在までスタートアップのソーシング、事業部門連携に携わっている。(写真:右)

田澤 昌孝[タザワマサタカ]様

高校卒業後、イギリスに留学し現地の大学にてBusiness ITを専攻。卒業後、ソラン株式会社(現:TIS株式会社)に入社。金融ブリッジSEとして海外のソフトウェアパッケージを活用した開発や海外事業の企画等を担当し、2017年7月よりインキュベーションセンターに着任。国内外スタートアップ事業の前進に貢献するマッチングを担当。スポーツアクセラレータープログラムでは、ドリコス株式会社(https://dricos.jp/)のプロダクト『healthServer』(https://healthserver.jp/)を活用した健康経営事業のコーディネーターとして関連リソースの調達、全体の調整や進行を担当。趣味はマラソン。2015年から始め、東京、ホノルル、シドニー等数多くの大会に出場。(写真:左)

 

その1:いち早くはじめたTISの「オープンイノベーション」の取り組み

 

■スピーディに新規事業を進めるにはオープンである必要がある

-取材しているこの場所は、いろいろな創発が起こりそうですね

中村:そうですね。ここは「bit & Innovation」といって、スタートアップの方、起業を考えているフリーランスの方、あとはベンチャーキャピタルや事業会社の方が会員登録し、コワーキングスペースとして自由に使って頂ける場所です。それと、オープンイノベーションに関する様々なイベントもここで開催していますね。2015年から運営しています。

-「オープンイノベーション」という発想は、御社の中でいつ頃から根付いてきたのでしょうか

中村:この場所をはじめた頃からですかね……。でも開始当時は3.5人だけのメンバーだったんです(苦笑)。弊社は元々SIerなので、ITシステム構築などの案件を、お客様から請け負って実施してきました。金融や物流のような、社会インフラに関わるシステム構築も得意としています。一方で「この先どうなる?」という議論は、当然以前から行われていました。発展するためには新規事業をつくっていかないといけない。スピードを速めていくためにはオープンであろうという考えは、はじめからありました。

-具体的には何をされているのでしょう

中村:継続的に実施しているのは、ビジネスマッチングですね。イベントを定期開催していますが、今はオンラインプラットフォーム(『bit-finder』:https://bit-finder.biz/)も開設しています。田澤が一生懸命手を入れているので、プラットフォームへのアクセス数は随分増えてきたんじゃないですかね。それからアクセラレーション。あとで詳しくお話しますが、「U-Studio(ユースタジオ)」モデルというのを構築して、今進めています。スタートアップ企業を中心に投資を行うCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)も立ち上げていますので、事業シナジーが進むなら実際に投資も行います。これが全部連動して回っていくのを目指していまして……我々がソーシングして、TISの事業部とつながって新事業が生まれていくのが理想的な循環です。

田澤:オンラインではただ企業情報だけが載っているのではなくて、「こういうイベントを行います」「こんなアイデアを実践するプロジェクト参画を募っています」「クラウドファンディングを募集しています」などの具体的な活動を掲載しているんです。だから使ってみようという人が増えてきたのかもしれません。

中村:イベントもいろいろなスタイルを試しています。たとえば、同様のオープンスペースを持っている他の事業会社さんと協働して、持ち回りでスタートアップのピッチイベントもやっています。

■最終的には自社に「戦略的リターン」が戻ってくるかが判断軸

-すごくスピード感を持って進められているイメージがあります

中村:そうなるように我々も意識してきました。たとえばCVCをはじめた時、社内規定を全部変えてもらったんです。従来の流れで審査をしていると、スタートアップ側とスピード感がまったく合わない。それで、役員3人の承認で進められるようにし、早ければ着金まで1ヶ月以内でもっていけるようにしました。

田澤:スピードが売りです!

中村:元々キャピタルゲインではなく、「戦略的リターン」を目的にしているから、この判断ができるというのはありますね。もちろん財務面も見ますが、最終的には「自社の事業計画やサービス・ソリューションが、このスタートアップと組むことでどうなるのか」が決め手です。

田澤:弊社のお客様先にちゃんと提案できるものになることが優先事項だと思っています。その段階まで構築できるよう出資する、という意味合いが強いともいえますね。

中村:とはいっても、なかなかね(苦笑)。スタートアップ側の難しさもあるけれど、事業サイド側の熱量もありますし。他の事業会社もそうかもしれませんが、PoC(実証実験)で止まってしまうことも多いんです。

■アイデアをPoCにして、早めに市場の反応を確かめる

―プログラムとして進めている内容について教えてください

中村:去年はまず、「スポーツ産業およびその周辺市場への価値創造」をテーマとしてアクセラレータープログラムを走らせました。それを今年から、「U-Studio」という形に進化させています。「U-Studio」は、エントリー後に我々のメンバーも入ってプロジェクトチームを組成し、仮説検証、開発、PoC段階へと一緒に進めていくんです。今6件くらい走らせていますが、スタートアップだけではなく事業会社から持ち込まれた案件もあります。構想しているアイデアを、TISの技術を使って具現化したいと相談頂く場合も結構ありますね。

田澤:ベースは、やっぱり「アイデア」なんですよ。何をやりたいか。そのアイデアが我々にとっても有益性があるかというのが第一に見るところです。次は実際にPoCまでもっていって、市場の反応を検証していきましょう、という活動ともいえますね。

中村:我々とシナジーがあれば、人・物・金などのアセットを全部、TISから出します。ローンチした時の契約はまた別途になるんですけれど。今後もこの形で回していくために、ビジネスプロデューサー、エンジニア、デザイナーなどいろいろな人をチームに参画させているんです。

-今はかなり取り組みが広がっていると思いますが、オープンイノベーションへの取り組みを決めてから実現がはじまるまで、どれくらいの期間だったのですか?

中村:半年くらいですね。

-それは早いですね!

中村:当時の部門長が必要だよねと理解してくれて。で、役員と掛け合ってもらって、イノベーションセンターをつくったんです。最初と今では全然イメージが違いますけどね。こんなに植木とか置かれていなかったし(笑)。

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